遺言書がある場合
相続において、被相続人(亡くなった人)が遺言書を残している場合、その遺言書に基づく相続登記を申請することになります。
例えば、相続人がA、Bの2人であるとして、遺言書の内容が「Aに甲不動産を、Bに乙不動産を相続する」と書いてある場合には、遺産分割協議を経ることなく、Aは甲不動産の単独所有、Bは乙不動産の単独所有となります。これを遺産分割方法の指定といいます。
しかし、相続人全員で、遺言書とは違う内容の遺産分割協議を行い、合意に至った場合には、遺言書の効力に縛られることなく、遺産分割協議が優先されることになります。(その他、遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害する場合には、遺留分減殺請求も可能です。)
遺言の方式は、主に以下の3種類です。
| 遺言方式 | 作成方法 |
| 自筆証書遺言 |
遺言者自筆の遺言書。全文、日付、氏名が自署であり、 押印(拇印も可)があるもの。遺言者1人で作成可能。 |
| 公正証書遺言 |
遺言書の内容に公証人が関与し、証人2人以上立会の もとに作成される遺言書。遺言書の原本が公証人役場 に保管されることになる。 |
| 秘密証書遺言 |
遺言者が遺言書の証書に署名押印して封筒に入れ(押 印した印で封印)、その遺言書を公証人と証人2人以上 の前で、自分の住所氏名、及び自己の遺言書である旨 申述して作成する遺言書。公証人や証人は、遺言書の 内容を見ることはできない。 |
自筆証書遺言、秘密証書遺言にて登記申請を行う際には、家庭裁判所で検認を受けなければなりません。(検認とは、一種の証拠保存手続です。検認を受けたからといって、遺言書の効力を保証するものではなく、後日内容を争うことも可能です。)
また、遺言による登記申請の場合には、登記に必要な添付書類の一部を省略することができます。
遺言による登記申請をする際に気を付けるべき点は、遺言書の内容が「相続させる」なのか、「遺贈する」なのかによって、登記原因が変わってくることです。登記申請の原因が変わることによって様々な違いがあり、例えば、登記所(法務局)に納める登録免許税(税金)に違いがでてきます。「相続」による登記の場合は、移転する不動産の固定資産評価額の1000分の4であるのに対し、「遺贈」による登記の場合には1000分の20と、5倍の登録免許税が必要になります。(相続人への「遺贈」は、「相続」と同じ税率で取り扱われています)
また、「相続」による登記の場合は、相続人の単独申請で構いませんが、「遺贈」の場合には、遺言執行者(又は相続人全員)と受遺者との共同申請となります。
このように、遺言書の文言一つで、登記手続にさまざまな違いが出てくるのです。
山部司法書士・土地家屋調査士事務所
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